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zoom RSS 君となら 〜出会い〜Y

<<   作成日時 : 2008/02/06 14:33   >>

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「いらしゃい」
 酒場の扉をくぐると、酒の匂いと喧騒がすぐにロードを包み込んだ。ロードはまっすぐにカウンターに座り、「ビール」と一言。すぐに大ジョッキにビールが注がれ、ロードの前にドンと置かれる。早速ジョッキに口をつけ、一気に胃に流し込む。すぐにビールは半分以下になった。
 そんなロードに主人は声をかけた。この酒場<森の小道亭>の主人とも、ロードはそれなりに親しかった。
「どうした?ロード。冴えない顔して」
「・・・さあね」
 つぶやき、残りのビールを飲み干す。主人は二杯目のジョッキを出しながら
「聞かせろよ」
 と、ロードをせかす。ロードはちらりと上目遣いに彼を見上げた後、「仕方ねえな」と、ため息混じりに話した。今朝の<クリス>との出会いと思わぬ大金。そして先程の美人のこと。
「へぇ〜。そんな美人がこの町にね〜」
 四杯目のジョッキを差し出しながら、主人は感心する。
「俺も拝みたいものだ」
「もう一回くらい会えねえかな〜。そしたら、今度は名前くらい・・・」
「お前の場合、それだけじゃ済まねぇだろうが」
 主人のからかいに、ロードはニッと口の端を持ち上げた。そのとき、店の奥から激しい言い争いが聞こえてきた。思わず、声のほうを振り向く二人。
「・・・ケンカか?」
「どうやらそうらしい。ロード、行ってくれるか?店でのごたごたは遠慮してもらってくれ」
「それで?いつものように?」
「はいはい。分かってますって」
 主人は肩をすくめ、半分腰を浮かしているロードに言った。「お代はタダで」
「おし。行って来る」
 奥に行くにつれ、声ははっきりとしたものになっていた。声の主は一人は中年の男、もう一人は若い青年のものらしかった。
「やめろってば!!」
 青年が叫ぶ。その声に、ロードは聞き覚えがあった。今朝、大金をくれたあの<クリス>に良く似たものだったからだ。
(まさかな・・)
 思い、声がする方を見る。―と、ブロンドの長髪を後ろで結んだ青年と、その横に赤ら顔の男性が座っているのが見て取れた。中年の男はかなり酔っているらしく、呂律が怪しくなっている。
「いいじゃあらいか。それくらい」
「やめろって!!触るなって言ってるだろ!!」
 話の内容から察するに、どうやら中年男が<クリス>を触っているようである。
(男にキョーミあんのか?あのおっさん。・・・ん?あいつどっかで・・・)
 そして、ロードは思い出した。昨日の町新聞にその男が載っていたのを。彼はこの町の町長だった。
(あいつ、男好きだったのか・・・)
 などとロードが思っていると、<クリス>がダンっと椅子を蹴って立ち上がった。剣に手を添えている。
「お前っ・・!!もういい加減に・・!!」
「おぅおぅ。私を切れるもんなら切ってみぃ〜〜」
 町長はヘラヘラと笑っている。怒りで顔を紅潮させている<クリス>が剣を抜こうとした、その瞬間―
「はい。そこまで」
 声と同時に、<クリス>は身動きが取れないでいた。いつの間にか、首に長剣の切っ先が突きつけられていた。冷たい剣の感触が首から伝わる。それをしていたのは、ほかでもない。ロード=リッツァー。
「お前はっ・・・」
 目の前にいるロードに気付いた<クリス>が声を上げようとするが、ロードは剣に力を入れ、彼を黙らせる。そのままで、ロードは町長に言った。
「町長。こんな男を相手にしていても、つまらないでしょう?女を用意させましょうか?」
「ふんっ。生憎だったな。私は女に興味はないんでな」
 酔った町長は、つい本心を口走っていた。酒場にいる人々は動揺を隠せない。ロードは笑いをかみ締め、さらに言う。
「町長。この男の処分はわたくしがいたします。町長はごゆっくり、お楽しみくださいませ。誰か若い者を連れてまいりましょうか?」
「そうだのぉ〜。ブロンドで碧眼がいいのぉ〜」
「はっ。かしこまりました」
 酒場が一段と騒がしくなる。ブロンドの男たちは一斉に町長の周りから逃げていった。何も分からない町長は一人で酒をあおっている。 
「お〜〜い!ビールだ!ビール!!男も連れて来い〜〜!ひゃっひゃっひゃ」
 叫ぶ町長に、ロードはフッと笑い、<クリス>に目配せをする。<クリス>もそれに瞳を閉じて応じた。
「では」
 言うと、ロードは<クリス>に剣を突きつけたままで、店を後にした。(明日の新聞が楽しみだな)と思いながら。

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